モルトウイスキーの中で
単一蒸溜所の原酒でつくられた
ウイスキーが「シングルモルト」
それぞれの土地の水や風土
気候などが溶け込んだ蒸溜所ごとの独自の
味わいがシングルモルトの
魅力の1つです
原料は大麦麦芽のみを使用し
単一の蒸溜所でつくられたウイスキー
①一つの蒸溜所のみで蒸溜
『モルト』とは英語で大麦麦芽の意味。
大麦麦芽のみを使用したウイスキーを
『モルトウイスキー』と呼びます
そして『シングル』が意味するものは
単一の蒸溜所でつくられたウイスキーを
ボトリングしたものです
つまり一つの蒸溜所でつくられた
『モルトウイスキー』だけを瓶詰めしたものが
『シングルモルトウイスキー』
対して複数の蒸溜所の『モルトウイスキー』と
トウモロコシなどを原料とした
『グレーンウイスキー』を混和したものを
『ブレンデッドウイスキー』と呼びます
『ブレンデッドウイスキー』が
様々な特長を持つウイスキーを
絶妙な技術でブレンドし
バランスのとれた味や香りを
追及しているのに対し
『シングルモルトウイスキー』は
その蒸溜所の個性やこだわりが
そのまま反映されているのが特長になります
最大の魅力は
個性の違いを愉しめること
蒸溜所の歴史や製法のこだわり
仕込水や使用する原料
そして蒸溜所が立地する自然風土など
その特長は一つとして同じものはないくらい個性的
スコットランドに現存する蒸溜所は
約100か所程度と言われており
それぞれの蒸溜所が誇りを持って
その個性を世に問うのが
『シングルモルトウイスキー』です
その蒸溜所に思いを馳せ
それぞれの個性の違いを愉しめることが
『シングルモルトウイスキー』の最大の魅力
あなた好みの『シングルモルトウイスキー』
が必ずや見つかるはずです
②シングルモルトの個性
『シングルモルトウイスキー』とは
その蒸溜所の個性を主張するウイスキー
同じような製法でウイスキーをつくったとしても
一つとして同じものは出来上がらない
各蒸溜所でつくられる
シングルモルトウイスキーは
その土地の気候や水などによって
特長がはっきりとわかれ
ワインに引けを取らないほど
多種多様な風味を持ちます
まさに、氏素性のはっきりとした
『地酒』と言っても過言ではない
では、強烈な個性を生み出す要素とは?
以下にその要素の一例を紹介します
③仕込み水の違い
シングルモルトウイスキーの
蒸溜所は規模が小さく
長い歴史をもつ蒸溜所がほとんど
その蒸溜所でウイスキーつくりが
はじまったころ使用していた仕込水は
必然的に蒸溜所の近くで調達できる
ものであったと考えられる
泉の湧水や川や湖からなど
取水地の違いや
地上に湧き出るまでにとおってきた
地層の影響などなど・・・
ベースとなる仕込水が異なることで
出来上がるウイスキーの味わいにも違いが生まれる
④製造方法の違い
大麦から麦芽をつくり
その麦芽を糖化・発酵させ麦汁を作り
蒸溜することでウイスキーのもととなる
ニューメイクスピリッツを作り出す
大まかな製造過程は同じでも
各蒸溜所の伝統やこだわりによって
異なる味わいのウイスキーが生まれる
例えば、麦芽つくり
麦芽を乾燥させる際に
ピート(泥炭)を燃料として使用すれば
そのピートの香りが麦芽につき
ピーティーな味わいのウイスキーが出来上がる
すべての蒸溜所がピートを
燃料に使っているわけではなく
ピートの炊き具合も各蒸溜所によって様々
また蒸溜釜や発酵や
仕込の為の設備の違いでも
様々な個性が生み出される
同じ蒸溜の過程でも
使用する釜の形状や製法により
出来上がるニューメイクスピリッツの
味わいも全く違うものになるのだ
小さく首の短い蒸溜釜で蒸溜すると
濃く濃厚で力強い味わいになり
反対に大きく首の長い釜で蒸溜すると
ライトでスムーズな味わいとなる
⑤樽の違い
出来上がったニューメイクスピリッツは
樽に詰められ長い期間貯蔵されることで
ウイスキーとなる
このときに使用される樽によっても
出来上がるウイスキーの個性に大きな影響を与える
樽の材質や以前に
どのようなお酒を詰めていた
樽を使っているかなどの違いが
ニューメイクスピリッツに影響する
仕込水や製造方法の違いから生まれる
その蒸溜所ならではの
ニューメイクスピリッツを
どのような樽に詰めるか・・・
その判断には各蒸溜所のこだわりや
歴史・伝統が反映されるのだ
⑥貯蔵環境の違い
そして、樽に詰められた
ニューメイクスピリッツは長い期間
その蒸溜所の貯蔵庫で眠りにつく
10年・15年・20年と熟成される過程で
その蒸溜所が立地する気候風土の影響を受けながら
例えば
海沿いに立地する貯蔵庫で熟成すれば
ほんのりとした潮の香りが
森の中の貯蔵庫で熟成されれば
爽やかな森林をおもわせる香りがついたり・・・
シングルモルトウイスキーとは
その蒸溜所が立地する
自然風土そのままを反映したものなのです
⑦スコットランドの蒸溜所
気候や農産物
豊かな水など
様々な点から
ウイスキーづくりに相応しい
スコットランドの風土
シングルモルトを知る上で鍵となる
それぞれの生産地の特色を紹介する
エレガントな風味と切れの良い味わい
スペイサイドSPEYSIDE
ハイランドの一部でありながら
スペイ川流域は特別な地域として分類される
芳醇でエレガントな風味と
切れの良い味わいが特長で
飲みやすいものが多い
スコットランドには現存する
蒸溜所が100ヵ所と言われているが
その半分がスペイサイドに集中
渓谷が多く緑深く湿潤な
このエリアはかつての
ウイスキー密造者が隠れやすいという
地形的な特長から
密造の歴史が世界的な名門蒸溜所を生み出した
この地には『グレン』と名のつく蒸溜所が多いが
『グレン』とはゲール語で『谷』の意味
このエリアの自然風土を物語っている
⑧スパイシーからフルーティまで
多様な味わいハイランド
スコットランド北部の地域で
東のダンディーと西のグリーノックを結ぶ
仮想線の北側をハイランドと呼ぶ
山岳地帯も多く広大な地域だが
大きな都市は少ない
一般によく知られたタータンや
バグパイプ等のスコットランド芸能風俗は
もともとこの地域の伝統文化である
現在稼働中の蒸溜所は約30ほど
広大な地であるがゆえに
スパイシーなものから
フルーティなものまで多様な味わいの
シングルモルトが産出されるが
全体的にはピート香が穏やかで
バランスのとれた味わいが特長
⑨モーキーでピーティーな味わいアイラ
イギリス西側に位置し
淡路島程度の小さな島であるアイラ島
この小さな島には現在8つの蒸溜所が存在し
モルトウイスキーの聖地とも呼ばれる
蒸溜所はすべて海辺に建ち
それが潮の香りや海藻といった
言葉で語られる独特の個性を生み出している
また、麦芽の乾燥のためにアイラ島で
育くまれたピートを使うこともあり
スモーキーでピーティーな味わいが特長
⑩甘さのある香味とやわらかな味わいローランド
スコットランド南部の地域で
グラスゴー・エディンバラといった都市を控え
スコットランドの政治経済の中心エリア
また、エディンバラから南は
起伏にとんだ丘陵地帯で農業も盛んだ
歴史的にグレーンウイスキーの
産地というイメージが強いが
かつてはたくさんのモルトウイスキーをつくっており、
モルト蒸溜所も多数存在した
現在稼働しているのは2つの蒸溜所
この地域ではアイリッシュウイスキーの
3回蒸溜の製法を取り入れ
軽いボディで穀物の甘さのある香味が
特長のライトで飲み口のよいウイスキーを産出する
⑪オイリーで潮っぽさを感じる強い香味キャンベルタウン
アーガイル地方キンタイア半島の
先端にある人口約5,000人の小さな町
ここでは古くからウイスキーづくりが盛んで
19世紀末にはこの小さな町に
20を超えるモルト蒸溜所が存在していた
ヘビー・オイリー・パワフルといった特長をもち
ブレンデッドウイスキーの原料として
大いに貢献していたが
その強い香味ゆえに次第にブレンダーたちの関心が
より上品な味わいのモルトを産出する
スペイサイドへと向くようになり
現在稼働している蒸溜所は3つのみ
今回のブログはウンチクの様になってしまいましたが
美味しいお酒を嗜むなら
そのお酒への理解を深めて頂きたいと思います。
自分と飲む機会があれば
その時にはゆったりと食事を味わいながら
お話しせて頂きたいと思います(/・ω・)/